校務支援システムを導入する目的とは?文科省が推進する理由も解説
世界48の国や地域のなかで、日本の中学校教員の仕事時間が一番長いことをご存じでしょうか。先生の働き方改革のひとつとして注目されているのが校務支援システムです。文部科学省もすべての学校にこのシステムが導入されることを推進しています。ここでは校務支援システムの導入目的や効果、メリットなどについて紹介します。
教育機関が校務支援システムを導入する目的
教育機関を対象にしたアンケートによると、校務支援システムの導入目的について、教務員の業務負担の軽減や校務の標準化・業務改善、教員間の情報共有の促進、情報セキュリティの向上、情報化政策の一環、教育の質向上などが挙げられました。いくつか詳しく解説します。
業務改善
例えば連絡事項を通知できる機能を使用することで、朝礼の際に最低限の連絡事項のみ伝達し、詳細は掲示板で確認すれば時間の短縮になります。
また、意見を書き込み出来る会議室機能を使用すれば、職員会議の前に議論したいことを掲載・意見の収集ができるので実際の会議では採決だけという対応が可能です。
情報共有
校務支援死す天寿を導入することでさまざまな情報が一元化されるため、情報を教職員間で共有でき児童・生徒の指導や学校経営に生かすことができます。
日常的な気づきをメモとして残す機能もあるので、自分の担当クラスだけでなく他のクラスの児童・生徒の様子が共有でき、すべての教職員ですべての児童・生徒を見守りながら、日々の指導を行えます。
教育の質向上
システムには作成した週案を掲載し、コメントを付加できる仕組みもあります。
例えば若手の教員が指導内容に迷っている場合、複数のベテラン教員の情報を参考にしながら教案をつくることができます。授業時数の集計もできるため、管理者が学校全体の時数を簡単に確認・集計できます。
文科省が校務支援システムの導入を推進する理由
文部科学省は必要な情報を共有することや校務の負担が減ることで、子どもたちと向き合う時間や教員間のコミュニケーションが増えることは学校経営の改善や教育の質向上に役立つと考えています。
校務支援システムを導入することによる効果を定性面・定量面から解説します。
定性的効果
児童・生徒に関する効果としては、情報を電子化することで担当教員だけでなく関係するすべての教職員が児童・生徒の特徴を理解でき、よりきめ細かな生活・学習指導が可能になります。
教職員に関する効果では、メールやグループウェア機能の活用で教員間のコミュニケーションが学校内だけでなく近隣の学校や教育委員会と活発になり、情報交換の効率化にもつながります。
また、これまで手書きだった業務を電子化することでミスが減少し、業務分担も適切になるため作業の平準化も図れます。
保護者などに関する効果は、連絡網を活用した情報発信により、保護者からの問い合わせが減り、教員の負担軽減も図れます。
日々の児童・生徒の様子を記録できるため通知表への記載内容の充実化が図れます。
定量的効果
システム導入により、教員一人当たりの年間の作業時間を多い自治体では200時間以上削減しています。
校務支援システムの導入効果とメリット
校務支援システムを導入することで得られる効果とメリットについて見ましょう。
教育の質的向上
グループウェア機能を活用して業務時間短縮と改善と実現し、情報発信や共有により教育の質向上を図ります。労働時間短縮や業務効率の改善で時間的な余裕が生まれ、各機能間でのデータ共有により作業負担やミスを軽減します。
校務の統一化
学校独自の業務管理を行っている場合、同じ自治体内で異動しても新しい方法を覚えなければなりません。システムを導入することで校務の統一化を図り、教員の負担を減らすことができます。
コスト削減
システムには機器設置が不要なクラウド型と自治体内にサーバーを設置して全校で利用するセンターサーバー型があります。
校務をデータ化することで、資料配布のための印刷やホチキス止め、配布の作業を廃止できるためコスト削減と時間や紙資源の有効活用が効果的にできます。
セキュリティ強化
自治体内で統一化したデータベースで管理を行うことで、強固なセキュリティ対策を講じたサーバーでデータ管理したり、USBなどで利用データを外部持ち出しすることを禁止したりできるため、情報漏洩リスクを低減できます。
まとめ
現行の校務システムにとらわれず、校務支援システムの導入を検討する際に業務全体を見直して、不要な業務や無駄な業務がないか整理するチャンスです。システム導入の目的を明確化することで、業務の効率化を通して教職員の働き方改革も進められます。業務効率が改善されれば、児童・生徒に向き合う時間や、教職員自身のスキルアップのための時間も増やすことが期待できます。校務にかかる負担の改善を課題にしている場合、校務支援システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。