校務支援システムの導入には時間がかかる?導入時に研修は必要か?
校務支援システムとは、教育現場で行われているさまざまな業務をデジタル化するICTツールのことです。日常の様々な業務を効率化することにより、教員の長時間労働を軽減し、教育にかける時間を増やすメリットがあります。この記事では、システム導入を検討される方に向けて必要な時間や研修についてご紹介いたします。
校務支援システムの導入は難しい?
校務支援システムの導入は、適切な業者を選べばそれほど難しいことではありません。校務支援システムは、文部科学省が推進する校務DX化のひとつです。
GIGAスクール構想が、子どもたちに1人1台のデジタル端末と、最適な通信ネットワークを整備する児童生徒側のDXであり、校務支援システムの導入は学校側のDX化です。紙ベースの業務や情報セキュリティ、職員室に留め置かれる現在の働き方を改善するものとして導入が進んでいます。
文部科学省の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」が2024年度までに延長されることになり、モデルケースも検討されているため、これまで導入が難しいと考えていた学校にも導入のチャンスがあります。
ただし実績の少ない業者や、カスタマイズに別料金がかかる業者、導入までの研修があまり丁寧でない業者もいます。複数の業者に見積もりを出し、経験豊富で導入後もフォローしてくれる業者を選びましょう。
現場のニーズをくみ取り、最適な校務支援システムを構築してくれます。よい業者を選ぶことで校務支援システムをよりストレスが少なく、スムーズに導入することが可能です。
校務支援システムの導入には意外に時間がかかる
校務支援システムの導入には、少なくとも半年~1年かかります。意外に時間がかかると感じるでしょう。
システムを有効活用するためには、インストールすれば終わりではありません。業者を選定し、発注した後の流れとしては、学校のニーズのヒアリング、仕様の確認、基本システムの構築、インストールとテスト運用、導入研修など多くのステップが必要です。これだけで半年は必要です。
学校によりカスタマイズが必要であれば、まずは、システムに反映させる現状の校務の洗い出しから行います。なんとなく慣例となっていても、さほど重要でない校務や、必要性のはっきりしない校務はないでしょうか。
学校教育法施行規則や指導要領もどんどん改正・改訂がなされます。対応しきれていないものはないでしょうか。システム導入を機に、校務自体を見直し、スリム化・最適化を図ることができます。
逆に成績と健康情報を統合することで、児童生徒の個々の変化に気づくことができるのではないか、進級や転校に伴う情報の引継ぎがスムーズになるのでは、などシステム導入で期待できることもあります。
公立校では、ある程度カリキュラムは統一的ですが、中高一貫校や私立校では独自のカリキュラムや様式があります。こうした校務の整理、システムのカスタマイズ、他のシステムを使っていればデータの引継ぎなども必要となるため、全体で1年かかることもあります。
校務支援システムを導入し活用するためには、導入の前年度から取り組むことが必要です。
校務支援システムの導入に研修は必要?
校務支援システムを導入する際、導入研修は必須と考えましょう。2021年の全国調査によると、校務支援システムを導入している学校は80%以上、学籍管理や健康管理を横断的に統合できる統合型校務支援システムの導入率は約65%と高い割合に達しています。
しかし、実際にシステムを活用している学校は50%未満となっており、システムを導入しながら半数以上の学校では有効に活用されていません。これは、導入に際して業者とうまくすり合わせが出来ていなかったり、導入時の研修が不十分であったりするためです。
導入研修に取り組んでもらうためには、本格導入する前に、実際にデータを少しずつ入力して研修を行うのもひとつの方法です。実際の場面を想定しながら行うことで、業務を進めつつ疑問点もその場で確認できるため実のある研修となります。
また、たまにしか使わない機能は忘れてしまうこともあるため、導入後もアフターフォローのある業者を選んだり、分かりやすいマニュアルをシステム内ですぐ確認できるようにしたり、ICT担当にフォローしてもらったりすることも不安軽減に役立ちます。
忙しいなかでも研修の時間を割いてもらえるよう、システム導入のメリットを説明し、教員の理解を得て進めることが大切です。導入に対する不安をやわらげ、必要性を感じてもらうことでシステムの導入がスムーズに進むようになります。
まとめ
今回は、校務支援システムを導入する際の難しさや導入スケジュール、研修の必要性についてご紹介しました。「とりあえず」でシステムを導入しても、児童生徒や教員をとりまく環境は改善されません。
校務支援システムを導入する目的は、紙ベースの作業をデジタル化することで業務の効率化を図り、子どもと向き合い、本来の「教育」の時間を増やしていくことです。
システム導入には準備と理解を得るためのステップが必要です。校務支援システムを丁寧に導入することで、学校現場の効率化、教育の一層の充実を図る一助となることでしょう。